多様性理解への第一歩。「アンコンシャス・バイアス」とは
「アンコンシャス・バイアス」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?
これは企業において重要とされる「多様性を受け入れる姿勢」を身につける上で、理解しておかなければならないものとして知られています。
では、その定義や具体例などについて詳しく見ていきましょう。
アンコンシャス・バイアスとは
アンコンシャス・バイアスは、簡単に言えば「意識せず、偏ったモノの見方をしてしまう」ことです。
「無意識バイアス」や「無意識の偏見」と表されることもあり、大多数は自覚せず行っていると言われています。
これは生まれついた環境や成長などの過程で影響を受けやすいですが、基本的には誰もが持っている特徴です。
しかし、どういったことなのかを理解しないまま放置すると、いずれはハラスメントやいじめ、職場のコミュニケーション不全などにつながる恐れもあります。
そういった事態を防ぐためにも、具体的なアンコンシャス・バイアスを知っておきましょう。
アンコンシャス・バイアスの具体例
ステレオタイプ
まず、代表的なのが「ステレオタイプ」です。
例えば「外国人は陽気で自己主張が強い」「お年寄りは気難しい」「女性は子どもが好き」「大阪の人は芸人のように面白い」「A型だから真面目」など、特定のグループに所属する相手に対して偏った特徴を押し付けてしまう現象です。
固定観念とも言われ、この意識が自分の中で強いと、この傾向に当てはまらない人を「型にはまらない人」「変わり者」といった扱いをしてしまい、逆に相手を傷つけてしまう場合もあります。
正常性バイアス
「正常性バイアス」は、自分にとって都合の悪い情報を受け入れられなかったり、あえて無視したりすることを言います。
例えば、会社の経営が厳しく人員の整理が行われるかもしれないと聞いても「うちの部署には関係ない」と思う、電車の中で煙が出ていても「まさか大きなトラブルではないだろう」と待機してしまう、感染症が流行している中でも「自分はかからないはず」と思い込み人ごみに出かける…などです。
これは本来精神に対する自己防衛本能の一種とも言われますが、過剰になると命の危険が生じる恐れもあるため、注意が必要です。
権威バイアス
専門家や有識者と呼ばれる人々に対して尊敬すべき部分はありますが、いっぽうで「権威バイアス」がかかりすぎると考えが偏る原因になりがちです。
権威バイアスは「自分より上の立場の人(上司)や専門家など、地位を持つ人のことを無条件に信じてしまう」アンコンシャス・バイアスのことです。
同じ分野の専門家でも、考え方や提唱する内容が異なるケースはあります。
さまざまな人の意見を取り入れ、自分なりの方向性を見いだすことが大切です。
確証バイアス
「確証バイアス」は正常性バイアスと似ていますが「自分の考えを肯定してくれる情報のみを重視し、逆の意見を軽視してしまう」ことを言います。
例えば、グループで話し合う時に自分と違う意見の人の言うことをあまり真面目に聞けなかったり、自分の言っていることが正しいと証明するために、ネットで同じ意見の人が集まるサイトの情報ばかりを集めたり…などです。
集団同調性バイアス
企業において注意しなければならない場面が多いのが「集団同調性バイアス」です。
これはその組織に属することで同調圧力が強まり、皆が自己主張せず周囲に合わせてしまう現象を言います。
例えば、明らかなハラスメント行為やコンプライアンス違反が行われているのに「自分が被害者ではない」「声を上げられる雰囲気ではないから諦める」「会議をしても満場一致ばかりで反対意見が出ない」などが挙げられるでしょう。
DE&Iの意識を高めるためにも、一度職場環境を見直してみると良いかもしれません。
アンコンシャス・バイアスの認識・是正の重要性
アンコンシャス・バイアスを認識し、是正に努めることは「社内環境の向上や生産性アップ」につながると言われています。
特に制度やシステム自体は整っているのに、成果が芳しくないといった企業は一度無意識の偏見が常態化していないか見直してみると、良い影響が生まれる可能性があります。
具体的なメリットとしては「管理職の意識向上によるハラスメントの予防」「さまざまな多様性を持つ社員が働きやすい環境が生まれる」などが挙げられ、その結果持続的な成長が期待できるというわけです。