日本におけるジェンダーバイアスを知る
ジェンダーバイアスが日本で問題になるのはなぜでしょう。世界との比較で見ていきます。
さらに「どのようなことがジェンダーバイアスに当たるのか」「企業としてはどのような施策をしていけばいいのか」について解説します。
日本のジェンダー・ギャップ指数
世界経済フォーラム(WEF)が公表した「ジェンダー・ギャップ指数2022」によると、男女格差を測るジェンダー・ギャップ指数(GGI)は、日本は146カ国中116位で、先進国の中で最低レベル。
アジア諸国の中でも韓国や中国、ASEAN(東南アジア諸国連合)諸国より低い結果となっています。
「教育」の順位は1位、「健康」の順位は63位と世界でも良い位置にいるといえますが、「経済」の順位は146カ国中121位、「政治」の順位は139位となっています。
「経済」の順位が低くなる原因は、女性の管理職の割合が低いことと、男性の賃金に比した女性の賃金が上位国と比較すると極めて低い水準にあることに関係しているようです。
ジェンダーバイアスの具体例
事務職は女性の仕事
事務のほとんどが女性という会社は多く存在します。女性自身も、女性だから事務という選択をしがちです。
しかし、男性にも事務職で働きたいと希望する人は存在していて、そのような男性は女性よりも就職に苦労する傾向があります。
事務を女性の仕事と考える根拠として「女性の方が細かいことが得意」「女性の方が仕事が丁寧」ということが言われますが、これもジェンダーバイアスです。
これは性に由来するのもではなく、個々の特性です。
子育てと仕事の両立は女性だけの問題
女性から「結婚して子どもができたら、仕事と両立していけるか不安」という相談をよく受けます。
そこには、子育ては主に女性が受け持つものという思い込みがないでしょうか。
相談員に相談する前にパートナーと話し合ったという人はとても少なくて、女性だけがもんもんと悩んでいるというのが現実です。
子育ては父親と母親がともにやるものという意識は浸透してきていますが、育児休暇や時短勤務を男性は取りにくいという傾向もあります。
男性がリーダーを務める
特に女性が多い場に男性が参加すると、男性が真っ先に発言を求められたり司会やリーダーを任せられたりすることが少なくありません。
頼まれた男性も、男は自分だけだからと断りにくい雰囲気を感じて引き受けてしまいます。
ここには、男性がリーダーに向いているという性格面だけではなくて、男性が引っ張っていくべきだという役割のジェンダーバイアスが働いています。
人前で話すのが苦手な男性には、大きな負担を強いてしまっています。
女性には優しく
男性には厳しいことを言うのに、女性には優しくなる上長がいます。
「女性は怒らせると何かとうるさい」「女性は能力が男性より劣るのだから仕方がない」というジェンダーバイアスが働いています。
実際、怒らせるとこじれてしまう人は女性に限らず男性にもいますし、能力に関しては個々の問題です。
一見女性に優しく接しているように見えますが、実は女性を必要以上に甘やかすことで女性の成長を阻害し、ジェンダー・ギャップを広げてしまっているかもしれません。
ジェンダーバイアスを解消するための施策
ジェンダーバイアスは、長年の文化や慣習のもとで無意識のうちに形成されていることが多く、一気に解消するのは難しい面があります。
特に年齢層が高くなるほど強くしみ込んでいるため、そのことをしっかりと意識して行動することが大切です。
ジェンダーバイアス解消のための企業の取り組みの一つが、女性活躍推進です。
女性管理職を増やして男女間の賃金格差をなくすことは、女性の能力への偏見をなくすことにもつながります。
女性活躍推進は女性の待遇だけでなく、残業時間や有休問題など男性にとっても働きやすい環境づくりを目指していると言えます。