高度外国人材について

「高度外国人材」という分類を知っていますか?

これは外国人を雇用する上で押さえておきたい基準ですが、一体どのような条件を満たせば高度外国人材だと認められるのでしょうか?

また、人材を評価する「ポイント制」についても詳しく見ていきましょう。

高度外国人材の定義

高度外国人材とは、簡単に言えば「外国人の人材の中で、専門的な知識や高度な技術を有する人」のことです。

これにはこのような分野に秀でている、こういった資格を持っている、といった条件は特にありません。

単純に学歴や年収、これまでの経歴、年齢、その他ボーナスなどを「点数化」し、そのポイントが一定以上を超えると「高度専門職」ビザが認められるというものです。

2009年に首相官邸が発表した文書によれば

「国内の資本・労働とは補完関係にあり、代替することが出来ない良質な人材」であり、「我が国の産業にイノベーションをもたらすとともに、日本人との切磋琢磨を通じて専門的・技術的な労働市場の発展を促し、我が国の労働市場の効率性を高めることが期待される人材」

とも記されています。

高度専門職ビザには「高度専門職1号」と、それを取得した上で善良な素行、かつ必要要件(在留3年以上など)を満たした場合に受けられる「高度専門職2号」があり、2号になると転職や生活などがかなり自由になるのが特徴です。

参照元:【PDF】国立国会図書館HP/外国高度人材受入政策の本格的展開を (報告書) (https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_3531347_pn_houkoku.pdf?contentNo=1&alternativeNo=f)

高度外国人材のメリット

高度専門職ビザは、取得することで外国人本人にとってはもちろん、採用する企業側にとってもメリットがあります。

まず、高度外国人材は「在留期間が1律5年」と定められているため、一般的な「一律5年」の人材に比べると長く働いてもらえること。

また、これはビザのランクによって範囲が変わりますが「複合的な活動が可能になる」ことも挙げられるでしょう。

「専門的な知識を持つ優秀な人材を比較的幅広い分野において5年間活躍させられる」というのが企業にとっての主な利点です。

必要とされる背景

優秀な人物は日本にもいるのになぜ今、高度外国人材が注目されるのか?というと、その背景には「日本経済の長期的な維持・向上の懸念」があると言われています。

現在の日本では少子高齢化が進み、どの企業においても将来的な人材の確保は不安視されていると言って良いでしょう。

そんな中、外国人労働力を貴重な人材として活用するだけでなく、より優秀な能力を持つIT技術者や研究者、起業家などの力を借りることで企業の多様性、グローバルな展開を促進すれば、ひいては日本経済への好影響が期待されるというわけです。

ポイント制について

高度外国人材を評価する「ポイント制」は平成24年5月7日から導入されました。

高度人材の受け入れ促進のために政府が設けたもので、優遇措置の対象基準は「70点以上」となっています。

これはどの程度の学位を取得しているか、具体的にどのような就労経験があるか、日本語能力などの項目によって細かく加点される方式となっていますが、年収に関しては「300万円以上」が最低基準となっているのが特徴です。

基本的に年齢が若いほどボーナスが受けられる、と考えて良いでしょう。

注目の分野

「高度専門職1号」は、職種によって「イ」「ロ」「ハ」という3つの分類があります。

例えば、「イ」なら大学の研究者やそれを指導する教授など、「ロ」ならITエンジニアや通訳者、医療関係者、芸術・興行関係者など、「ハ」なら経営者や管理職、役員、法律・会計業務者などが該当します。

2号になるとそれよりさらに幅広く、芸能活動を行ったり個人で芸術活動を行ったりと、日本におけるほぼすべての就労活動が許可されます。

採用する企業側としても、高度専門職としてどのような分野に従事してきた人物なのかをしっかり確認した上で、適した人材を獲得する必要があるでしょう。

特定技能1号・2号、技能実習生との違い

高度外国人材(高度専門職)と似た資格に「特定技能1号・2号」があります。

これは2019年に創設された在留資格の一種で、特定の産業分野に属するための知識や、経験を必要とする技能を有する外国人に向けたものです。

特徴は「単純労働を含む作業を任せられる」ことで、2号の方が熟練した技能を求められる分、在留期間などの自由度が上がります

ただし、2号は2022年12月現在「建設」と「造船・舶用工業」の2業種でしか認められていないため、今後さらなる展開が望まれます。

また「技能実習生」とは主に開発途上国の意欲的な若者が、日本で技能を学ぶために就労するものです。

監理団体を通して受け入れられることが多いので、希望する企業は海外の送出機関に相談しましょう。