次なる多様性の考え方「DE&I」について
組織における多様性を認め、受け入れ合うという意味でのD&I。
しかし、近年ではそれに「E」を加え「DE&I」という価値観も生まれているようです。
なぜ「E」がプラスされることになったのか、どのような変化が期待できるかなどもふまえ、詳しく考えていきましょう。
「DE&I」の定義
DE&Iは一般的な「ダイバーシティ(多様性)&インクルージョン(包括)」の間に「エクイティ(公平性)」を加えたものです。
公平性とは「個々の状況に合わせてリソースやツールを調整し、平等に成功できる機会や情報を与えること」を言います。
エクイティは英語にすると“equity”となり、似た言葉に“equality(平等)”がありますが、平等、は「個々の状況(能力など)を特に鑑みず、すべての人に平等に機会や情報を与えること」となってしまうため、別の意味として理解しておきましょう。
エクイティの場合は例えば、障がいがあり他の社員と横並びになれない部分があっても、突出する分野があればそれを伸ばし、同程度のポジションを得られるよう機会を設けたり、妊娠や出産で休職を免れない女性に対し、給与等の待遇を変えずにキャリアに復帰するためのトレーニングプログラムを用意したり…といった具合です。
逆にスタートラインを平等に見ないことで、ゴールポイントを合わせられるよう配慮するやり方ですね。
Eが定義された背景
この「E」が定義された背景には、欧米諸国において「差別をなくし、すべての人を平等に見るだけでは解決しない問題が存在すること」が認識されてきた事情があると言われています。
仮にもともと同じ能力を持った人間同士でも、例えば片方は貧困家庭に生まれ、もう片方は富裕層に生まれるといった生来の差が生じると、どうしても裕福な方が成功へのチャンスに恵まれやすい傾向がありますよね。
同程度の教育を受ければ同じように成功できたはずでも、そもそも教育を受ける機会を与えられなければ成長することは難しいのです。
このことから「すべての人が同じスタートを切れるわけではない」と理解し「不平等をふまえて現状を是正する努力を行う」というのがエクイティの考え方と言えるでしょう。
期待できる変化
では、このDE&Iを推進することによりどのような変化が期待できるか、といえば「D&Iよりもさらに一歩進んだ、多様性のある組織の育成」につながると言えるでしょう。
エクイティの認識は、もともとのスタートラインが違う人もいる、自分にとっての当たり前は当たり前ではない、といった社員全体の意識改革にも影響します。
これは世代が異なる者同士にも言えることで、現代日本においても「親の負債がそのまま子どもに引き継がれてしまう」現象は問題視されています。
また、LGBTQをはじめとする性的少数者に関しても、未だ職場で結婚や恋人について詮索されて傷つく、法的に独身だと出世の機会を得にくいといった意見は少なくありません。
価値観の差異を埋めることは、将来的な人材のモチベーションアップや、ひいては企業の成長を促すきっかけになるでしょう。