当事者が抱える悩みを知る

LGBTQ+当事者が職場で抱える悩みを、令和元年に厚労省が実施したアンケート結果(※)から見ていきます。

LGBTQ+の人たちが声にしづらいものの、心から望んでいる支援を知り、その悩みにそった有用な施策をうっていきましょう。

【PDF】参照元:厚生労働省委託事業 職場におけるダイバーシティ推進事業報告書 (https://www.mhlw.go.jp/content/000673032.pdf)

調査対象:従業員50人以上の企業 1,0000 社、調査方法:郵送による配布・回収、調査期間:令和元年 11月8日(金)~令和元年 12月3日(火)有効、有効回答数 2,388 件・回収率23.9%

LGBT当事者が抱える職場での悩み

ハラスメント

職場でハラスメントに悩まされる人は、相変わらず少なくありません。

「容姿や外見に言及する」「「男らしさ」や「女らしさ」を要求する」「恋人の有無や結婚・出産の予定に言及する」「性的な冗談を言う」などの他に「パワーハラスメントに相当するような行為」も上げられました。

トランスジェンダーの場合、性的マイノリティであることを理由に「職場で不快な思いをしたことや働きづらくなったことがきっかけで転職した」という割合が、性的マイノリティ当事者の中でも高いという傾向がみられています。

所属している企業が、ハラスメント防止に積極的であると答えたのは、14.8%~8.9%(レズビアン、ゲイなどの特性別に集計)でした。

人事評価や配置転換

人事評価や配置転換でも、不当な扱いを受けて悩んでいる様子が浮かび上がってきました。

「性的マイノリティであることを理由に異動などで不利な扱いを受けた」「キャリアも異性恋愛や結婚を前提とされる」そのほかに「ロールモデルとなる人がいないため、キャリアプランを描けない」という声も上がっています。

どのような職場を望むかとの問いには「性別に関わらず能力を発揮できる職場」を望むという回答が多くありました。

入社する前の就職活動でも悩みがあり「異性愛者であることを前提とした対応や質問をされた」「自分自身のことをアピールしづらい」などが上がっています。

その他、職場で困っていること

「プライベートの話をしづらい」「自認する性別と異なる性別でふるまわなければならない」という回答が多くあり、なかには「LGBTQであることを隠して働いているのが苦しく、また、バレたら変な目で見られるのではないかと日々不安を感じています。」という切実な声もありました。

「性的マイノリティに関する知識がある人が多い」にそう思うと答えた人は5.3% ~1.4%(レズビアン、ゲイなどの特性別に集計)、「プライバシーを尊重する風土がある」に、そう思うと答えた人は、15.8%~8.7%。「多様性を尊重する風土がある」に、そう思うと答えた人は 11.9%~6.4%でした。

「トイレや更衣室などの施設利用」や「相談先の設置」を望む声も多数ありました。

考慮すべきこと

性的指向・性自認に関する情報は機微な情報であるということが多くの人に認識されていることはうかがえますが、その情報に対して特段の配慮をしているかどうかをみると、「1,000人以上」の企業であっても「配慮している」という割合は5割程度にとどまっています。

本人の許可なく第三者に伝えてはならないことも含めて、全社員への周知が必要と思われます。

自社にはLGBTの人はいないと回答する企業も多数ありましたが、求職時のカミングアウトの状況をみると、これまでの就職活動においてカミングアウトしていた割合は、高くても1割強です。

カミングアウトがないだけで、実際にはいるのかもしれないと考えて、対応策は考えておいた方がいいでしょう。