女性管理職の割合
女性活躍推進法では、自社の管理職に占める女性比率を把握して、課題分析をすることを求めています。
政府が掲げる女性管理職の割合の目標値は30%です。
そこまで女性割合を高めることの意義と、女性の本音について解説します。
女性管理職の割合
就業者全体に占める女性の割合は、2018年で44.2%となっており、諸外国と比べても大差はありません。
しかし管理職に占める女性の割合は、毎年着実に上昇しているとはいうものの、平成30(2018)年は14.9%です。諸外国に比べて際立って低い水準にとどまっています。
さらに階級別役職者に占める女性の割合を役職別に見てみると、2018年現在で、係長級が18.3%、課長級11.2%。部長級になると6.6%と上級職になるほどその割合が低くなっています。
女性の社会進出は進んでいるというものの、さまざまな業務の決定権は、まだまだ男性にゆだねられているというのが現状のようです。役員の女性割合を高める意義
視点や価値観が広がる
女性が経営に加わることにより、男性のみの場合より、より広い視点で考えたり、新しい価値観が生まれたりする可能性が広がります。
女性の視点に頼るというより、女性男性が協働することで、新しいものを生み出すというイメージです。それにより企業全体が活性化されて、競争力向上にもつながります。
常に発展して利益を生み出し続ける必要のある企業にとって、手詰まり感をなくして新風を吹き込む一助となり得ます。
女性が積極的に昇進を考えるようになる
女性管理職のロールモデルが複数できることで、管理職のキャリアイメージが描きやすくなり、より多くの女性が管理職に挑戦する意欲を持つようになります。
先達がいることで女性特有の問題も相談しやすくなるので、女性が管理職になることの不安を和らげる効果もあります。
さらに管理職が男性だけで構成されている場合に比べて、非管理職社員が抱えているさまざまな問題も見つけやすくなり、相談しやすくなるので、労働環境が整いやすくなります。
ダイバーシティ・インクルージョン経営につながる
女性男性のいずれもが働きやすい環境を整えることが、ひいては多様な人材のための労働環境へとつながります。
労働力不足の対策として多様な人材の採用が避けられない昨今ですが、そのためには高齢者、障がい者、外国人などさまざまな人たちが働きやすい環境づくりが必須です。
女性管理者が増えることは、まさにそのダイバーシティ・インクルージョン経営への布石となるし、それによって人材を集めやすくなり、離職率も下がります。
企業パフォーマンスが高くなる
役員の女性割合が高い企業の方が、自己資本利益率や、EBITDAマージン(売上高に占める利払前・税引前利益の割合の割合)が高くなる傾向があります。
また、「環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)」の視点を重視するESG投資で、より高い評価を得ることができるようになります。
ESG投資には、女性社員がどのくらいいて、どのような働き方をしているのかという要素も入っているので、女性管理職の割合が高いことは、より高いパフォーマンスがあると判断されます。
【PDF】参照元:内閣府男女共同参画部公式HP
(https://www.gender.go.jp/kaigi/kento/mieruka/siryo/pdf/sankou1.pdf)
なりたくない女性も多い
女性管理職を増やすメリットは多くあるにもかかわらず、その割合はなかなか増えません。
労働政策研究研修機構が行った「男女正社員のキャリアと両立支援に関する調査」(※)では、課長以上への昇進を希望する人の割合は,男性が5~6割なのに対して女性は1割程度です。 そのために、女性は積極性が足りないとよく言われます。
しかし、昇進を望まない理由に、仕事と家庭の両立やロールモデルがいないことへの不安が多くあげられていることを鑑みると、管理職になっても働き続けやすい環境を整えていくことが、重要な解決策といえるようです。
※調査対象:全国の常用労働者300人以上の企業6,000社と100~299 人の企業6,000社。調査期間:2012年10月12日~10月31日、調査方法:郵送(メール便等)による調査票の配布・回収