技能実習制度について
「技能実習制度」という言葉を聞いたことがある人は多いでしょう。
外国人を雇用する方法のひとつとして知られていますが、実際にどのような条件があるのでしょうか?ここではその課題や対策も含め、詳しく探っていきましょう。
技能実習制度
そもそも「技能実習制度」とは「開発途上国等の外国人を、日本で一定期間(最長5年)受け入れ、OJTを通じて技能を移転する」という国際貢献を目的とした制度です。
1993年に創設され、2017年には「外国人の技能実習の適正な実務及び技能実習生の保護に関する法律(技能実習法)」が施行されたことにより、監理監督体制の強化や技能実習生の保護などにさらに力が入れられるようになりました。
(※)これをきっかけに制度違反や人権侵害があった場合には、管轄省庁大臣へ企業を指摘、状況に応じて改善命令・許可取消し・業務停止などの要請が可能となっています。逆に優良な管理団体として認められれば、受入人数の拡充などが許可される可能性もあります。
参照元:国際人材協力機構HP
(https://www.jitco.or.jp/ja/regulation/)
受け入れ方法
受け入れ方法には、大きく分けて「企業単独型」と「団体監理型」の2つがあります。
- 企業単独型
- 団体監理型
日本企業が海外にある現地法人、取引先企業や合併企業などの常勤職員を受け入れる。
事業協同組合に属する中小企業団体や商工会議所、商工会など営利を目的としないところが監理団体となり、加盟企業が実務研修や技能実習を実施する。
ただし、企業単独型は海外法人が売上規模や国際取引実績などの条件を満たす必要があるため、一般的には団体監理型をとる企業がほとんどだと言われています。
制度の課題と対策
技能実習生の失踪
「技能実習制度」を利用し、実習生を受け入れたのちに問題視されているのが「失踪」です。
理由は主に労働環境にあると言われており、厳しい指導や賃金の安さなどに耐えかねて姿を消すケースが多いと言われています。
失踪が起こってしまうと、それ以降に技能実習生を受け入れることが難しくなってしまうため何とか避けたいものです。
そのためには、基本的に「日本人の従業員と対応に差が出ないよう注意する」「指定されている賃金、労働時間などの条件を守る」「意思の疎通が難しいからと、指導を投げ出さない」といった対策が必要になるでしょう。
技能実習生による事件、生活トラブル
大多数の技能実習生は日本に真面目に働きに来ているのですが、「就労資格を持たないことによる不法滞在」や「資格外労働といった違法行為」を行う人もゼロではありません。
そのため、まずは採用する前にビザや就労資格などについて細かく確認し、信頼できる人物であるかを見極める必要があります。
また、慣れない日本での生活により、近隣住民とのトラブルを引き起こす実習生もいるようです。
騒音や間違ったゴミ出しなどが代表的ですが、単純にルールを知らないという可能性もあります。
特にゴミ出しなど地域特有の決まり事に関しては、企業がサポートを行うことが望ましいため、先輩や同じ国籍の実習生と積極的な交流を持たせるなど、工夫をしていきましょう。
監理団体のフォロー不足
「技能実習制度」を利用する際に団体監理型を選ぶ場合には、前述した通り「監理団体」を通して実習生を受け入れます。
しかし、この監理団体は全国にかなりの数が存在するため、それぞれのやり方によってフォローの体制も異なるのが現状です。
具体的には出国前の借金状況(現地の送り出し機関に対する手数料や保証金など)や、来日した後の実習生に対するサポートなどです。
信頼できる人材を育成するためには「どの監理団体を選ぶか」も非常に重要になると言われています。
監理費用や対応力、どの程度講習を行っているかなどのポイントを押さえて見極めましょう。