自治体や公的機関の支援制度・取り組み

自治体のLGBTQ+支援は、どの程度進んでいるのでしょうか。

学校は、LGBTの子どもたちへの配慮をしているのでしょうか。

採用活動や職場は、どのような取り組みを行わなければならないとされているのでしょうか。

詳しく解説します。

自治体による支援

大阪府

大阪府は令和元年「大阪府性的指向及び性自認の多様性に関する府民の理解の増進に関する条例」を施行。

その中で府と府民の他に、事業者の責務の項を設けています

「第6条 事業者は、基本理念にのっとり、性的指向及び性自認の多様性に関する理解を深め、その事業活動を行うに当たっては、性的指向及び性自認の多様性に関する理解の増進の取組に努めるとともに、府が実施する第4条第1項の施策に協力するよう努めるものとする」

東京都

東京都は2018年10月、「東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念実現のための条例」案を成立させました。

本条例は第1条の条例の目的において「いかなる種類の差別も許されない」と記載し、第4条で「都、都民及び事業者は、性自認及び性的指向を理由とする不当な差別的取扱いをしてはならない」と定めて、「性的指向・性自認を理由とする差別禁止」を明確に規定した条例を整備しています。

学校による支援

文科省は平成27年4月「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について」を通知して、学校におけるLGBTの児童生徒への対応の仕方を示しています

その中では、

  1. 学校における支援体制
  2. 医療機関との連携
  3. 学校生活での各場面(服装、水泳、修学旅行他)における支援の仕方

を示したうえで、先入観をもたず、その時々の児童生徒の状況等に応じた支援を行うことが必要であるとしています。

教育委員会等による支援としては、教職員の資質向上のための研修等の活用である「サポートチーム」の設置等を提言しています。

最後に「以上の内容は、画一的な対応を求める趣旨ではなく、個別の事例における学校や家庭の状況等に応じた取組を進める必要があること」と明記しています。

大学などにおける適切な対応促進のためには、独立行政法人日本学生支援機構において、教職員向けの理解・啓発資料「大学等における性的指向・性自認の多様な在り方の理解増進に向けて」を作成配布しています。

政策による支援

厚生労働省は「職場におけるダイバーシティ推進事業」の一環として性的マイノリティ(LGBT)支援を扱っており、次のような取り組みをしています。

  • 公正な採用選考
  • LGBTという理由だけで嫌悪感を示すのではなく『人を人としてみる』人権尊重の精神、すなわち、応募者の基本的人権を尊重することが重要と明記しています。


  • セクシュアルハラスメント
  • 「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」で、事業主は、職場におけるセクシュアルハラスメントが生じないよう、雇用管理上の措置を講じなければならないとされています。


  • パワーハラスメント
  • 「人格を否定するような言動を行うこと。相手の性的指向・性自認に関する侮辱的な言動を行うことを含む。」をパワハラに該当すると明記しています。


  • 紛争解決
  • 都道府県労働局及び労働基準監督署等に設置された総合労働相談コーナーでの相談は、性的指向・性自認に関連する労働問題も対象としています。