LGBTQ+のカミングアウトについて
LGBTQ+の人の対応に戸惑う人も、まだまだ多いです。
「実は」とカミングアウトされた時に、相手を傷つけない対応をしたいものです。
カミングアウトの実態とやってはいけないことも併せて知っておきましょう。
カミングアウトとは
LGBTQ+のカミングアウトとは、自分はLGBTQ+の当事者であると周りに伝えることです。
具体的には「私はレズビアンです」というように、自分の性的指向や性自認を言葉で明らかにする行為です。
日本では、多くの場合LGBTQ+の当事者は、そのことを周りに伝えていません。
株式会社LGBT総合研究所が令和元年に行った調査(※)では、当事者の78.8%が誰にもカミングアウトをしていません。
そのうち、生活や仕事に支障がなければしたいと望む人は25.7%、生活や仕事に支障がなくてもカミングアウトは必要ないとした人は40.1%でした。
カミングアウトするかどうかは、本人の自由であるのは言うまでもありません。
ただ、カミングアウトする人が少ないことによって、周囲の理解が進みにくくなっている側面はあります。
※調査対象:20~69 歳の個人 428,036 名(うち有効回答数:347,816 名)、調査時期:2019年4月16日~5月17日、調査手法:インターネット調査
アウティングの問題点
アウティングとは、人のSOGI(性自認、性的指向)を、例えば「○○さんって、同性愛者なんだって」というように、LGBTQ+当事者の許可なく第三者に言いふらしたり、SNSなどに書き込んで暴露したりすることです。
アウティングに関わる事件に、一橋アウティング事件があります。
一橋大学(東京都国立市)で2015年8月、男子学生が、同性愛者であることを同級生に暴露されて心身不調となり、校舎から転落死した事件です。
この事件を受けて、国立市は「性的指向と性自認等の公表の自由は個人の権利」と明記してアウティングを禁止する条例を施行しました。
性的マイノリティには、まだまだ偏見が付きまとっており、カミングアウトには、相当の決意が必要だと推察されます。
また、特定の人にカミングアウトしたということは、その人を信頼したからこその行為です。
アウティングは「人の尊厳にかかわる情報の暴露」と「信頼を裏切られた」という二重のショックを本人に与えます。
もしカミングアウトされたら
最後まで話を聞く
LGBTQ+なんだとカミングアウトされたら、とにかくその人の話をきちんと最後まで聞きましょう。
カミングアウトしたということは、伝えたいことがあるはず。勇気をもって話してくれたのに、途中で遮ってしまったら、後悔させてしまいます。
難しい返事を返す必要はありません。「そうなんだ」「うんうん」と相槌をうちながら聞きましょう。
話を聞いて、受け入れられるならそれでいいし、受け入れられないのならそれでもかまいません。
ただ、信頼して話してくれてありがとうの気持ちと、できることが何かあるのかを尋ねてみるといいです。
勝手に他の人に話さない
LGBTQ+のカミングアウトは、きわめて個人的で、かつ、人のアイデンティティや尊厳にかかわる内容です。
高度の個人情報だと考えて、勝手に第三者に話してはいけません。
特にSNSに拡散すると、知らない人にまで広まったり、デジタルタトゥーとしてずっと残ってしまったりします。
そのようなアウティングで相手を傷つけないために、この話を他に知っている人がいるのか確認してみるのもいいでしょう。
そして話を受け入れられるかどうかに関係なく「第三者には許可なくも話さない」ということを伝えておくと、安心してもらえます。