障害者雇用の課題

経験のない障がい者雇用を推進していく時には、課題が存在します。

課題=壁とその課題をどうやって乗り越えればいいのかをくわしく解説します。課題を乗り越えて、スムーズな導入につなぎましょう。

障がい者雇用における課題とは

会社内に適当な仕事があるのか

「平成30年度障害者雇用実態調査結果」によると、身体障がい者、知的障がい者、精神障がい者、発達障がい者ともに、「会社内に適当な仕事があるか」が非常に多い課題になっています。

これは障がい者特性の理解不足が主な原因と言っていいでしょう。

大まかな障がい者の特性を理解し、自社の業務とのマッチングを図る必要があります。

それには以下のやり方があります。

  1. 既存業務に合った障がい者を採用し、業務を担当してもらうやり方(例:身体障害の人に入力作業をしてもらう)
  2. 業務を障がい者がやれるように変更するまたは生み出すやり方(例:組み立て作業を細分化する)

まずは、障害にはどのようなものがあって、何ができて何が困難なのかを大まかに知ることから始めましょう。

参照元:厚生労働省「平成30年度障害者雇用実態調査の結果を公表します(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_05390.html)

障がい者を雇用するイメージやノウハウがない

「平成30年度障害者雇用実態調査結果」(上記調査と同じ)による障がい者雇用を推進する上の、2番目に多い課題は「障がい者を雇用するイメージやノウハウがない」です。

これまでは健常者の従業員のみでやってきた企業が大半なので、イメージやノウハウがないのはしかたありません。

厚労省ではその対策の一つとして、ハローワークなど支援機関への相談を勧めています。

さらに、ハローワークが実施する特別支援学校の実習の見学会などに参加すれば、障がい者雇用がイメージできます。

いきなり正社員採用するのではなく、障がい者に対する職場実習の受け入れ等を実施したり、トライアル雇用を利用したりすることで、相互理解が進むでしょう。

従業員が障がい特性について理解することができるか

障がい者と実際に一緒に働くのは、現場の従業員です。

どのような業務内容であっても、従業員の理解を得ることなしには、障がい者雇用を継続することは困難です。

多くの場合、障がい者が身近にいた経験のない従業員は「障がい者雇用によって自分の負担が増えるのではないか」「コミュニケーションがうまくいくだろうか」という不安を抱えます。

研修などで学んだり、特別支援学校の実習の見学会にともに出かけたりして理解を深めていきましょう。

障がい者対応を従業員に丸投げするのではなく、企業としてどのようにサポートしていくのかを明確に伝えることも重要です。

障がい者雇用にあたっての注意点

合理的配慮の提供義務

事業主は、次のような合理的配慮をする必要があります。

  1. 知的障害がある方に対し、図などを活用した業務マニュアルを業務指示は内容を明確にして一つずつ行うなど、作業手順を作成したりして分かりやすく示すこと。
  2. 精神障害がある方などに対し、出退勤時刻・休暇など、通院・体調に配慮すること
  3. 聴覚障害がある方に対し、危険箇所や危険発生を視覚で確認できるようすること。

合理的配慮は障がい者個々の状態や職場の状況などに応じて求められるものが異なり、多様かつ個別性が高いものですから、互いによく話し合った上で決めます。

雇用の分野での障がい者差別の禁止

募集・採用、賃金、配置、昇進、教育訓練などの雇用に関するさまざまな局面で「障がい者であることを理由に障害者を排除すること」「障がい者に対してのみ不利な条件を設けること」「障害のない人を優先すること」は禁止されています。

ただし以下の➀~➂は禁止される差別に該当しません。

  1. 積極的な差別是正措置として、障がい者を有利に取り扱うこと (例:障がい者のみを対象とする求人)
  2. 合理的配慮を提供し、労働能力などを適正に評価した結果として障がい者でない人と異なる取り扱いをすること
  3. 合理的配慮に応じた措置をとること