外国人雇用における課題
グローバルな視野を持つ外国人を雇用することは、企業にとってもメリットにつながります。
しかし、そのいっぽうでいくつかの課題もあります。
具体的にどういった問題が考えられるのかを見ていきましょう。
外国人雇用における課題とは
コミュニケーションの障害
外国人雇用において代表的な問題は「コミュニケーション」と言われます。
仮に日本語をマスターしていても国によって文化や習慣は異なるため、こちらが意図していないように受け取られてしまったり、他の日本人の社員と連携が取りにくかったりといった課題が発生するのです。
実際、2019年の内閣府による「企業の外国人雇用に関する分析」(※)を見てみると、1位は「日本語能力に問題がある」29.5%、2位は「日本人社員とのコミュニケーションに不安がある」19.5%となっています。
日本人同士であっても、社内の報連相が大きな意味を持つのは言うまでもありません。
外国人社員との円滑なコミュニケーションを目指すことが、雇用を促進する上で非常に重要と言えるでしょう。
【PDF】参照元:内閣府公式HP
(https://www5.cao.go.jp/keizai3/2019/09seisakukadai18-6.pdf)
待遇に対する不満が生まれやすい
人手不足を解消する目的で、外国人を雇用したいと考えている企業も多いでしょう。
しかし、特に「技能実習生」を雇用する場合、待遇に不満を覚えやすい面もあるようです。
これは技能実習生が「認可を受けた技能実習計画に沿った実習実施者(受け入れ先企業)以外での実習を認められていない」ことから、制度的に3~5年転職ができないことに起因する(※)と言われています。
つまり「同時期に自分と同じ送り出し機関からやって来た実習生との比較がしやすい」というわけです。
また、国によって労働条件も異なるので、所得から引かれる税金などに対して「働いた分もらえていない」と思われることも。
雇用の前に、しっかりと条件のすり合わせを行う必要がありそうです。
参照元:ミャンマー・ユニティHP
(https://www.myanmarunity.jp/ginou_jisyu/17861/)
コミュニケーション不足、文化の違いによるトラブル
外国人を雇用する場合、やはり言葉の壁や文化の違いに関しては押さえておかなければなりません。
日本人の従業員とのコミュニケーション不全はもちろん、育ってきた環境や言語が違うことで、外国人同士でもトラブルが起こる恐れはあります。
また、「パワーハラスメント(パワハラ)」や「セクシャルハラスメント(セクハラ)」についても注意したいところです。
日本でも問題視されるものですが、文化が異なる分、その線引きについても事前に確認しておくのがおすすめです。
生活面ではゴミ出しや騒音などのルールを知らず、近隣住民に迷惑をかけてしまう…といったケースもあるようなので、プライベートは極力干渉しないながらも、日本に不慣れな外国人を雇用する場合にはできる限りフォローできると良いかもしれません。
外国人雇用にあたっての注意点
在留資格や、在留期間などをしっかり確認しておく
外国人を雇用する場合、まずは「就労可能な資格を有しているか」の確認が必要です。
在留資格(日本に滞在するための資格)を取得した上で、日本での就労が認められている外国人を採用しなければ、本人だけでなく使用者も刑事罰を受ける恐れがあります。
もし「未取得だけれど雇用したい」といった事情がある場合には、日本の地方入国管理局にて「在留資格認定証明書」を受けたのち、所定の手続きを踏むといった流れが必要です。(これは状況によって変動するようなので、詳しくはお問い合わせください)
また、前述した通り「技能実習生」の受け入れ先となる際にも、転職が難しいなどの点には注意しなければなりません。
既に他の企業で就労経験のある外国人であれば、資格に関しては心配ないと思って良いでしょう。
日本人と同じ条件を心がける
外国人を雇用するからといって、賃金や条件に関し日本人労働者と差を付けるのは悪手です。
昨今では日本人も成果主義の意識が強まってきていますが、同じように外国人も昇給や昇進などに対し、労働に見合ったものかどうか確認しています。
最低賃金だけでなく、残業代や有給などもふまえ、従業員の待遇が平等になるよう気を配りましょう。
また、外国人の人材を採用する上で必要な法律や労務管理などの知識を事前に深め、D&Iを意識した労働環境を整える努力を行うことが望ましいと言えます。