D&I推進・ダイバーシティ経営がもたらす価値とメリット
D&Iとは、組織においてさまざまな特徴や価値観、属性などを持つ人が集まっている状態、そしてそれを受け入れることを指します。
これは多様化が進む世界において企業でも推進の流れが広がっていますが、具体的なメリットとしてはどのようなものがあるのか、詳しく見てみましょう。
推進するメリット
外部評価の向上
まず、D&Iを推進するメリットとして「現代的な価値観を持つ企業」というイメージから、外部評価が向上するというものがあります。
これは顧客や取引先からの印象が良くなるだけでなく、特に若い世代を中心に「この会社で働きたい」と思われる可能性も高くなるでしょう。
将来的な人材確保は多くの企業において課題となっているため、優秀な人材を確保するためにもD&Iの推進は有意義だと言えます。
D&IはSDGsやESGといった、企業における他の国際的な目標や取り組みとも親和性があるものなので、国内はもちろん海外からの印象を高める効果も期待できるのではないでしょうか。
創造性の拡大(プロダクト&プロセスイノベーション)
また、「生産性の向上(プロセスイノベーション)」や「サービスの拡大(プロダクトイノベーション)」も、D&Iの推進によって期待されるところです。
D&Iは外国人や障がいを持つ人など、日本におけるマイノリティの採用を積極的に行ったり、女性の活躍を考えたりするだけでなく「働き方の個性」を見直すことも大切です。
それにより生産性がアップし、より効率的な作業ができるようになる可能性もあります。
また、さまざまな特徴や価値観を持つ人たちが集まることで、新規アイデアが生まれるきっかけにもなるでしょう。
これまで決まった人材のみで行っていた企画なども、新たな視点が加わることで思いもよらない発想による商品やサービスが実現するかもしれません。
職場内での効果
もちろん、D&Iは職場内の環境においてもプラスの効果を発揮することが期待されます。
旧態依然とした会社では、例えば「個々の多様性を受け入れられず、すべての人材に同じ働き方を求める」「マイノリティの社員が特別なものとして扱われ、他から距離を置かれるなどして孤立してしまう」「人材が本来の力を発揮できるポジションに行けず、実力を認められにくい」といったトラブルが起こりやすいものです。
しかし、D&Iの推進によりさまざまな働き方や個々の特性を認め合える環境になれば、誰にとっても居心地のよい職場となるでしょう。
これは採用面だけでなく、貴重な人材が長く働き続けてくれることにつながるという意味でも有益です。
推進する際の注意点
人材の多様化により、職場が混乱しないよう十分な準備を行う
このように、D&Iは企業にとって外部評価の向上や生産性・創造性アップ、居心地のよい環境づくりなどさまざまな面でメリットがあります。
しかし、いっぽうで事前準備なしに利点だけを見て導入すると「さまざまな人材が集まることで、逆に混乱を生んでしまう」恐れもあるのです。
経営者や管理職がいくらD&Iの意識を唱えたところで、従業員に浸透していなければ意味がありません。
まずは「積極的に社員教育の機会を設ける」ことから始め、その意義や今後の働き方について周知しましょう。
また、理解を促すだけでなくD&Iを推進することによって、これから社内がどう変わっていくのか?に対する不安に寄り添う姿勢も大切です。
円滑なコミュニケーションを行える環境づくりを心がける
D&Iの教育をしっかり行った後でも、現場でのトラブルはゼロではありません。
知識として多様性を受け入れることと、実際に特性や価値観の違う人を相手に仕事をするのはまったく別だからです。
また「誰もが無理なく働ける環境づくりを目指しているのに誰かが我慢するばかり」といった不具合が生まれてしまうと、不和は起こりやすくなります。
こういった場合、企業として重要なのは「円滑なコミュニケーションを促す」ことです。
意見の衝突は必ずしもマイナスだけではなく、お互いの意見を伝え合った上で妥協点を探せれば、より友好な関係につながることもあります。
ミーティングや交流会の開催、談話室の設置など、社員同士のコミュニケーションの場を積極的に設けましょう。