パートナーシップ制度について
パートナーシップ制度は、自治体によるLGBTQ+カップルのための制度です。
制度の利用を認めている企業も増えていますが、国が法律で認めている婚姻とは決定的に異なることがあります。
その歴史とともに、確認していきましょう。
パートナーシップ制度とは
「パートナーシップ制度」は、同性同士の婚姻が法的に認められていない日本で、自治体が独自にLGBTQ+カップルに対して「結婚に相当する関係」とする証明書を発行し、さまざまなサービスや社会的配慮を受けやすくする制度です。
法的な効力はないため、パートナーに遺産の相続はさせられませんが、公営住宅などへ家族として入居することが可能になります。
家族として福利厚生を利用できるなどとする企業も出てきています。
パートナーシップ制度の歴史
日本でLGBTという言葉が広く知られるようになったのは、2013年ごろのことです。
制度の根拠となるものは、「東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例」です。
この人権尊重条例に、パートナーシップ制度の導入を盛り込んだものが、2015年に東京都渋谷と世田谷区が初めて導入し、その後、自治体主導で全国に広がっていきました。
2021年10月現在では130の自治体で施行されています。
参照元:一般社団法人日本LGBTサポート協会
公式HP
(https://lgbt-japan.com/about/)
パートナーシップ制度の自治体の導入状況
令和2年(2020年)10月1日現在、導入自治体数は60を超えました。21年には73と増え、2022年10月11日時点では240自治体が導入しました。
1300万人の人口を抱える東京都が導入したことで、制度の人口カバー率は全国で55,3%となりました。
パートナーシップ制度の交付件数は、2022年9月30日時点で3,456組です。
(渋谷区・虹色ダイバーシティ 全国パートナーシップ制度共同調査より)
参照元:NIJI BRIDGE
「渋谷区・虹色ダイバーシティ
全国パートナーシップ制度共同調査」
公式HP
(https://nijibridge.jp/)
パートナーシップ制度の課題
法律上の婚姻と比較して限界がある。
パートナーシップ証明があっても、国が法律上の婚姻関係で認めている権利は認められていません。
主に次のものです。
- 所得税の配偶者控除
- 健康保険などの被扶養者になること
- 子どもの共同親権
- 遺産の法定相続
中でも➃の遺産相続は、婚姻であれば配偶者が亡くなった場合には妻または夫には法定相続分が認められていますが、パートナーシップ制度の場合は、大切なパートナーに遺産を残したいと思っても法的な効力はありません。
ルールが自治体によって異なる。
パートナーシップ制度は、各自治体が独自の条例や要綱で定めるものです。
エリア限定のルールであるため、自治体による公認によって、できるようになることが異なります。
さらに、その自治体を離れる場合は証明書や受領書を返却して、移転先で新たに取得しなければならない場合もあります。
ただし、近年はパートナーシップ制度の相互利用連携が広まっているため、移転先でも使い続けられる自治体も増えています。
内容をよく確認しましょう。
双方が同じ自治体に住まなくてはならない自治体もある。
カップルのどちらもが、同じ自治体に住む、あるいは同居することを要件としてあげている自治体もあります。
家族や職場に打ち明けておらず、周囲に気づかれることを恐れて同居しないLGBTのカップルも少なくなく、そういうカップルにはハードルが高くなっています。
ただ、申請時に同居していたとしても仕事の都合で一方が転居する必要が生じることなどは、婚姻関係の夫婦にもあることなので、この要件は修正されていくでしょう。